最近、カドヘリンという蛋白質のことを知りました。きっかけになったのは、サイエンスZERO という番組。いわゆる科学番組です。
さて、どんな蛋白質かといいますと、細胞と細胞をくっつけるものだそうです。発見者の竹市雅俊氏曰く、これがなかったら、つねるだけで皮膚が崩れるとか。形を安定させることもできないです。生物にとっては、とてつもなく重要な蛋白質です。
カドヘリンは臓器の形成にも関わっています。生物は受精卵が細胞分裂を繰り返すことから始まるわけですが、初めは同じ種類の細胞しかありません。しかし、途中からさまざまな種類に分かれていきます。そして、同じ種類の細胞は集まり、臓器の一部を形成します。このときにも、カドヘリンが重要な役割を果たします。
カドヘリンにもいろいろあり、細胞の種類ごとに違っているそうです。これによって、同じ種類の細胞が集まるのです。カドヘリンがなかったら、皮膚の細胞と骨の細胞と神経細胞が混ざってしまうかも。皮膚に骨が混ざり、神経繊維が糸のように生えてたりするんでしょうか・・・。
ここまでは基礎研究です。応用研究として、癌の転移についての関わりが研究されています。
転移は癌細胞が血管などを通って離れた場所に移動し、そこで増殖することで起こります。癌細胞のカドヘリンは正常な細胞よりも少なかったり弱まったりしていて、ばらばらになりやすいとか。そこで、癌細胞のカドヘリンを増やすことで、転移させないようにできないかという実験が行われています。マウスによる実験では、すでに効果があることが判明しています。
ほかにも、神経細胞が情報を伝達する部分であるシナプスにもカドヘリンが関わっているようです。情報を送る側の細胞のカドヘリンの働きが悪いとシナプスが成長せず、情報もうまく伝わらなくなるんだそうです。
まだ応用が始まった段階のようですが、さまざまな治療に結びつく可能性を感じました。非常に将来が楽しみな分野です。
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