すでにご存知の方も多いと思いますが、ピュアP2P によるファイル共有ソフト Winny の作者が逮捕されたとの報道がありました。容疑は、著作権法違反幇助。つまり、著作権法違反を支援するようなことをした(この場合は、支援ソフトを作った)ということ。
幇助の判断基準によって、最終的な結果が変わってきます。違反行為に使えるからと言う理由の場合、インターネットそのものが幇助と言うことになってしまいます。当然、プロバイダは対象に含まれるでしょうし、有料無料を問わず、ホスティングサービスも対象となります。プロバイダによって多くの人がインターネットに手軽に接続できるようになり、ホスティングサービスによって著作権を侵害するようなファイルがやり取りされるようになりました。また、パソコン向け OS(Windows や MacOS)で使える Web サーバーや FTP サーバーの開発者も対象となるでしょう。FTP サーバーでは、明らかにファイルの交換を目的とした機能を搭載しているものもあるのです。
この場合は、当然ながら Winny が幇助と捕らえられても仕方が無いでしょう。しかし、この基準ではおかしいことは明らかです。「人を殺せる包丁が違反でない」のと同じです。公式サイトには、違法ファイルを扱わないようにとの注意書きがあり、幇助をするようなことが書かれていたわけではありません。支援サイトにあった作者の発言一覧でも、それらしいものは見かけませんでした(ずっと追いかけていたわけではないので、見落としている可能性はあります)。
ただ、本人が事情聴取で違法性を認めたとの報道もあり、ドラマのような警察の脅迫まがいの尋問でもされていない限りは、有罪となる可能性が高いでしょう。
なお、ファンサイトの運営者にも家宅捜査を行ったとの報道があり、後釜を狙ったソフトの関係者もかなりショックを受けたでしょう。某雑誌で記事が何度か掲載されている Share(仮) の公式サイトとファンサイトも閉鎖されていました。おそらく、他のソフトも状況は似たようなものかもしれません。
心配なのは、今回の逮捕をきっかけにして、P2P = 違法という考えが広がってしまうことです。すでに企業向けソフトや携帯電話などで利用が始まっていて、応用は広まっていくでしょう。個人的にも面白い技術だと思います。健全な技術発展が進むことを望みます。